北欧というと、寒い、物価高、ヴァイキングのような荒くれものといったマイナスイメージを覆すほど、教育、福祉、デザイン、自然といったプラスイメージが先行している印象を受けているのは、小生ばかりではないのではないかと思います。
他の欧州諸国では意識して避けようとしなければ、豪華絢爛という印象を受ける場所に巡り合いますが、そうした出会いもないままに終えたこの旅路。
しかし、質素であったかというと、それもまた違う。オスロの市庁舎のように、ナチュラルテイストで落ち着いた風合いでありながら、シンプルな中にある美しさを感じることはしばしば。
一方で、フィヨルドのように、質素とはかけはなれた、自然の生み出す意匠の中の静けさのような、人を圧倒するダイナミズム。
おそらく、北欧の良さとは正にこの、質素とダイナミズムが織り重なった文化なのではないか。
人々は、フィヨルドという大地の姿を変えるのではなく、その中でどう上手く生きていくのかを模索してきただろうし、凍てつく寒さの中をどう生き延びるのかを考えてきたはずだ。
木目を活かした調度品の数々は、自然と共に生きていく姿を表している好例のように思える。
これとは対照的に、コペンハーゲンのように、家の外壁を原色やパステルカラー単色で塗った家々を見ることがある。
かと思えば、オスロの中心部のように石造りの壁をそのままにしている街並みもまた存在するのも事実。
北欧と一口に言っても、外洋に大半の海岸線が接するノルウェーと、内海との接触が多いスウェーデンではその文化はまた異なってしかるべきであるし、南側の都市部と、北側の田舎ではまた大きく生活スタイルが異なるだろう。
この多様性があることを忘れさせるほど、北欧にはシンプルさを基本としたデザインがメインストリームとなっていると感じさせてくる。
スティーブ・ジョブズたちがアップルで表現してきたシンプルさが、世界中のトレンドとして台頭している昨今、北欧のデザインは世界のメインストリームとして注目を受けるのは自然な流れではないだろうか。
ジョブズは、日本の禅の精神をモデルにしているようですが、何かと間を埋めたくなりがちな方には、間の取り方か世界屈指の日本の芸術に目を向けてみてはどうかと思うものの、 どこか日本文化とのシンパシーを感じる北欧にもっと注目してみてはいかがでしょうか。
マリメッコのようにインスタ映えするシンプルデザインから始めるのも良いかもしれません。
ちなみに小生は、ハンス・J・ウェグナーの家具をお勧めしたい。