登場時期が近いこともあり、何かと比較されるB787とA350。
実際には航空会社のニーズを考えると、少しターゲットがズレてるとは思うものの、やはり技術的には似ているところもありますので、良い比較対象だと思います。
そこで、巷で言い古されている話ですが、改めてこの2機種を比べてみたいと思います!
目次
故障が少ないのはA350
技術的なアプローチの大きな違いは、先端技術をふんだんに取り入れたのがB787で、割りと保守的な設計を取り入れたのがA350。
B787はかなり多くの部分が電動化されています。窓のシェードまで電動化するくらいのアグレッシブさ。この姿勢が影響してか電気的トラブルもかなり散見されます。
これを見てか後発のA350は、電動化はそこまでされてはいません。
また、B787は、今までは6枚だったコックピットの窓を4枚の大きなガラスを使う形に大きく変更しています。これも原因なのか、B787のコックピット窓がよく割れてます。大きいゆえに負荷がかかっているのだろうと思いますし、据え付け時に捻りがないようにするのが難しいからではないかと想像してます。
元々、フライバイワイヤなどエアバスの方がボーイングより先進的な設計を取り入れている印象があったので、面白いです。
CFRPの使用率はほぼ互角
チタン合金に変わる軽量・高強度の素材である炭素繊維複合材の使用率が高いというのがA350とB787に共通した特徴です。
A350は53%、B787は50%とほぼ互角です。
幅が広いのはA350
キャビンの最大幅は、A350が561cm、B787が549cmです。
ややターゲットが異なることもありますが、A350の方がキャビンの最大幅が広いです。XWBは、eXtra Wide Bodyを意味しているそうですから、A330だけでなくB787よりも広くないと名前負けしてしまいますからね。
窓が大きいのはB787
A350もB787も窓の横幅は同じですが、B787は圧倒的に長いです。パッと見て窓が大きいことがハッキリ分かるレベルです。しかも電気シェード。
この大きな窓のおかげで、B787はかなり解放感がある機内になっています。
機内与圧は互角
以前は、8,000フィートレベルまでしか与圧できなかったものが、6,000フィートレベルまで与圧できるようになりました。
これは、A350とB787ともに同じレベルだそうです。
機内の湿度はB787
ともに炭素繊維複合材の使用量を高めて湿度に強くなっています。
B787では加湿することで湿度を今までの2~3倍となる20%程度にしているそうです。
座席数で比較
標準 | 非常口 | |
A330-800 | 220-260 | 406 |
B787-8 | 242 | 381 |
A330-900 | 260-300 | 460 |
B787-9 | 290 | 420 |
B777-200 | 305 | 440 |
B787-10 | 330 | 440 |
A350-900 | 300-350 | 440 |
A350-1000 | 350-410 | 440 |
B777-300ER | 365 | 550 |
B777-8 | 384 | |
B777-9 | 426 |
航続距離で比較
B787-10 | 11,910 |
A330-900 | 13,334 |
B777-9 | 13,500 |
A350-1000 | 14,800 |
A350-900 | 15,000 |
A330-800 | 15,094 |
B787-8 | 15,200 |
B787-9 | 15,750 |
A350-900ULR | 16,100 |
B777-8 | 16,170 |
見た目の違い
空港で見かけた時に、A350とB787を見分けたくなるかと思いますので、簡単な見分け方講座を。
エンジン
一番分かりやすいのが、エンジンカウル(カバー)ですね。
上のA350のエンジンカウルは、特に変わったところはなさそうです。
下のB787のエンジンカウルを見てください。
後ろ側の縁がギザギザしてますよね。
これはシェブロンと呼ばれるもので、騒音軽減効果があるそうです。
シェブロンはB787かB747でしか見られないので、すぐ見分けがつきます。
コックピット周り
B787は窓が4枚です。これも珍しいのですぐに分かるポイントです。ただ、角度によってはよく見えないこともあるかもしれません。
その点、A350はパッと見て分かる特徴があります。窓の周りに黒い縁取りがあります。前から見ると、両津勘吉の眉毛みたいになってるのですぐ分かると思います。
ただし、エア・カナダの最新の塗装では全ての機種でコックピット窓の周りを黒く塗ってしまったので、分かりにくいですが、エア・カナダにはA350がないので、迷うことはないと思います。
お尻
飛行機のお尻には、エンジン起動や地上での電源供給をするAPU(補助動力装置)の排気口があります。
B787のお尻は、機体尾胴の絞り(曲線)がそのままAPUの排気口に繋がったようなデザインです。これが自然な感じがしますが、意外と珍しいデザインです。
排気口がメタル剥き出しのとんがりコーン形なので、目立ちます。
一方、A350の方は、こちらも尾胴とシームレスに繋がったメタルですが、とんがりコーンというより円柱形っぽい形になっています。
どういう訳か機種によってかなり形が異なります。ヒヨコ鑑別士の如くここを見るだけで機種判別するのが通っぽい気がします。ただ、後ろが見えないと判別できません。あんまり後ろから機種判別する必要が生じない気もしますが、そもそも機種判別する必要があるのかという根本的な疑問に辿り着いてしまいますので、あまり深追いするのはやめましょう。
また、尾胴の形も、B787は胴体断面中心に絞っている一方、A350は胴体断面上側に絞られています。これは、B767やA330でも見られる特徴です。
主翼
B787の主翼は、飛んでる時(翼が揚力を受けている時)に上にしなる特徴があるので、鳥のようですぐに分かりそうです。
ただ、陸にいるときは、翼の先っぽ(翼端)を見ると、すぐに見分けがつきます。
B787は、翼端が耳掻きの先っぽみたいにグニュっと曲がっています。
一方、A350は、乱雑に扱ったノートのはしっこみたいにカールしています。
A350の方が特徴的ですぐに見分けがつきますね。
まとめると
- A350なら、コックピット窓周りが黒い
- A350なら、主翼端がカールしてる
- B787なら、エンジンカウルがギザギザしてる
- B787なら、お尻の金属がとんがりコーン
オススメは?
こんな人にはA350がオススメ
- 故障が少ない方が良い!
- 少しでも広い方が良い!
こんな人にはB787がオススメ
- 湿度が高い方がいい!
- 窓が大きい方が良い!
ということで、どちらも良い機体だと思いますが、機内環境はB787の方が良いかなと思います。